私の妻が霊能力に目覚め、その超能力で病気を治すということを始めてまだ2年目。日本は薬事法で、医者以外が「病気を治す」という行為をしてはいけないという決まりがある。よって私の妻が霊能治療を開始できたのは、私が医師免許を持っていて、その私の指示で霊能治療を患者に受けていただいたからである。
医師自身が霊能力を持っているか、医師の協力を仰ぐ以外に霊能力治療を実践・研究することは日本では難しい。よって霊能力治療は非常に希少な治療となっている。それが効くか効かないかを論ずる前に、一般人がそういう症例を集めて発表することさえ薬事法違反になるので治療データ自体に稀少価値が高いことを理解しなければならない。医師免許を持たない者が霊能治療で患者を治したとしても発表する機会を奪われている。
さて、妻の霊能力が芽生えた当初、この力が「病気を治す力がある」ことを私は知らなかった。ところが私はある日、妻とショッピング中に持病の「古典的片頭痛」が起こった。一時的に脳虚血が起こり、盲点が広がって前が見えなくなる。その時に私は妻に「なんとかしてくれ」と頼み、妻は私の頭に手を当ててくれた。そして10分後、見事に症状が消失した。頭痛もほとんどない。いつもなら拍動性の頭痛が数日続く。
このことがきっかけとなり「患者にも試してみよう」と私が提案した。私の医院には全国から難病ばかりが集まる。だから患者も「わらをもつかむ思い」で来院するので、患者たちは快く霊能治療を受けてくれた。
それ以来、私たちの難病治療の成績が飛躍的に向上した。が、一方で私はこの能力が何を意味するのかについて研究せざるを得なくなった。患者を難病から救うための研究である。
その後、妻は真言密教の在家僧侶になった。理由は霊障から自身を守るためだった。妻の得体の知れない霊能力はメリットばかりではなく、患者に憑いている霊体(意識体)が自身に乗り移って害をもたらすという諸刃の剣だった。霊を扱う世界で自分の身を守るために、妻は僧侶にならざるを得なかった。
同時に私は妻の霊能力を研究するために、神仏の世界を勉強した。そしてこの世界は想像以上に危険であることを知った。覚悟を決めてとりかからなければ自分の命も危ない。どうか、私の意見をたわごとと受け取らないことを願う。
これから述べることは科学から離れ、飛躍した推論の世界となる。そして霊能者だけが体感できる摩訶不思議な世界の話にならざるを得ない。→次の本文を読む