シュレーディンガーは遺伝子の構造が明らかになる前に「遺伝子は非周期的結晶であり、変化を与えられた繰り返し構造が遺伝情報をコードしており、その秩序は量子レベルで決定されている」と述べた。ダーウィンの進化論では「無慈悲な自然が完全でない子孫を適応した個体へ仕立て上げる」という適者生存の考えが主流である。だが量子論者はそうした自然選択だけでは進化の半分しか説明できないと主張する。新ダーウィン説で鍵となるのは、突然変異はランダム。環境が変化した時に生物種はその変化に適した突然変異がランダムに起こることをじっと待っていなければならないとしている。
ところがケアンズが細菌を飢餓状態にさせ、それに耐えうる突然変異体の研究をしたところ、飢餓という環境に応じて耐性株が出現した、つまり環境に有利な突然変異が起こりやすいという結論を出した(適応的突然変異という)。これまでのランダム突然変異という説を塗り替える驚くべき内容だった。量子論者はそうした突然変異に量子力学的な力が働いていると考えている。→次の本文を読む