チベット医学では主病因は近因と遠因に別れ、近因は上記の3体液の乱れ、遠因は「愚か(無明という)」という。
皮肉であるが、無明であれば「主病因が高次元にあることに気づかない」はずであり、学校教育で習った物理理論が正しいという常識にとりつかれているはずである。無明の者たちは量子力学でさえ「そんなものは机上の空論」といいのけて信じないはずである。だからそもそも無明の人々にチベット医学を説明すること自体が無駄であろう。
無明とは学力や記憶力のあるなしを意味していない。高次元世界の存在に気づくか気づかないかにかかっている。
近因であるルン、ティーパ、ペーゲンの乱れは「貪り」「怒り」「無知」から生じる。つまり心に原因がある。「貪り」「怒り」「無知」は「無明から生まれる。つまり、全てのはじまりは無明という心の問題にあるとするのが高次元的な考え方の中核。近因と遠因の明瞭な区別はなく、つながっている。
これを密教の教えと重ねると、病というものの本質が見えてくる。
第一に心(魂・意識体とも呼ぶ)は宇宙の意志の一部であり実体のない波動エネルギー。宇宙のエネルギーが枯渇しない限り消滅することはない。つまり心は基本的に永遠で、死がない。第二に宇宙の意志は3次元という一つの空間を作り、心に肉体という幻影を与え自我を芽生えさせた(生き物ができた)。第三に自我の暴走を防ぐために、「愚かな行為で肉体が壊れる」ようにバランス設定した。それが病ということになる。第四に肉体が滅びても心は転生して新たな肉体と結合。これを何百回と繰り返すうちに心は学びを得て愚か・無明から脱出し、成長していく。しかし、心の暴走が度を越していた場合(無差別殺人など)、第五として次の転生の時に病気を潜伏させた肉体を与えられ、その病気は時限爆弾のように発症する。これが過去生のカルマによる病。
当然ながら今生でも「愚かな行為」で病は発動する。それが第六として、今生のカルマによる病。第七として、愚かな行為が鬼神の怒りに触れると鬼神による病が発動する。第八として生活習慣の悪さやケガ、偶発的な事故、災害、疫病、薬の副作用、毒物や発癌物質による病があるのだが、それは全体的な病気の本質から見るとわずかであろう。
これらが私の考えた「密教的な病気のとらえ方」である。
西洋医学は「心が原因の病」には対応が難しい。しかし、人間が3次元世界で物質のおもちゃを作る技術が発展して行くと、対症療法ではあるが延命技術は着実に上がっていく。だから西洋医学が無駄だとは全く思わない。
だが、西洋医学は民からお金を吸い上げる道具として君臨しており、そのあくどい性質は将来的にエスカレートしていく一方であろう。まさに、西洋医学は「ないものねだり」を利用して民を支配する。
残念なことながら、西洋医学の延命技術にすがることは、チベット医学が警告している「むさぼり」を増大させることである。命が永遠であり、転生することを考えると、西洋医学にすがって寿命を10年延期してもらうことに何の意味があるだろう。それは3次元世界の肉体という幻影に必死に執着する愚かな姿である。そして西洋医学にすがりついたその姿勢こそが、次の転生での「過去生のカルマによる病」を発症させる。西洋医学に10年延命させてもらった結果、次の転生でジョーカーを引くという因縁を作るかもしれない。
仮に心・魂が転生することを受け入れた場合、私がここに書いたことは真実味を帯びるはずだ。→次の本文を読む