補助因(本文)

 チベット医学では病の根源は心・魂・意識体であると断言しており、原因は高次元世界に由来するエネルギーにあると考えている。その主病因を増大・集積・出現させる因子として3次元世界の現象や生活習慣を掲げている。再度言うが、西洋医学や一般的な健康に関する講義内容と発想が真逆である。私たちは一般的に食生活や衣食住が主病因と考えるが、チベット医学では、それらは主ではなく補助因となる。
 本来、心を幻影から解放させることが病の根源を絶つことになるのだが、それは極めて難しい。だからまだ病気が軽いうちは、3次元世界に存在する物質を用いることが最も手軽である。だからチベット医学では補助因を調整することで病を発生させないように種々の工夫をする。その工夫は、高次元に対する工夫なので西洋医学や栄養学を超えている。もしも栄養学者たちがチベット医学を参考にすれば、圧倒的な進化を遂げると思われる。

1)補助因-増大 ①季節(暑い・寒い・雨季) ②5つの感覚器(見る・聞く・臭う・味・触る) ③生活態度(考える・しゃべる・運動・我慢)
 チベット医学と一般常識との相違点は「不足・過剰と誤用」を指導する点である。一般的には良い音楽、良い香り、良い食事などは取り入れるべきと考えるが、チベット医学では「暴露しすぎはダメ」と、過剰に得ることをやめさせる。一般常識では「腰痛には〇〇がいい。」「肝臓にはコーヒーがいい。」「勉強にはクラッシック音楽がいい」などと購買意欲をあおりつづける。が、チベット医学は「よいと思われるものでも過剰は悪化させる」と断言する。世の中にある啓発本や健康本では絶対に言わないことをさらっと断言する。本・雑誌・テレビ・ラジオなどの情報は常に「極端」であり、チベット医学は極端を「悪」とみなす。だから一見、チベット医学と一般の健康本の内容が一致しているようにみえるが、真実はその逆。糖質ダイエットや断食療法やベジタリアンも過度に行うものをチベット医学は推奨していない。バランスが命であると言っている。そういう意味で全てのコマーシャリズムに敵対しているということを忘れてはならない。世の中に現存するどんな健康法も「極端」である。
2)補助因-集積・発生・鎮静 3体液のバランスを崩す 主に食物 上記の「食事箋」の段落を参考。
3)補助因-出現 一般的:不適切な食生活・生活態度、鬼神、季節的、不適切な投薬、毒、悪しきカルマ
特殊的:ルンを出現させる特殊因、ティーパを出現させる特殊因、ペーケンを出現させる特殊因
〇ルンを出現させる特殊因
 「苦い」、「軽い」「粗い」効力の食物、貪りの心(特に性欲)、飢え、睡眠不足、しゃべりすぎ、肉体の酷使(特に空腹時)、考えすぎ、冷たい微風
〇ティーパを出現させる特殊因
 「辛い」、「熱い」「鋭い」「脂っこい」の香料の食物、怒りの心、怒りと関わるネガティブな心、重すぎる荷物運搬、激しすぎる運動、暑さでの過労、崖から落ちる、殴られる
〇ペーケンを出現させる特殊因
 「甘い」、「重い」「極めて冷たい」「脂っこい」効力の食物、食後にすぐ寝る、日中に昼寝、湿った場所に寝る、冷たいシャワー、熟していない果物、生野菜、焦げたもの、食べ過ぎ、飲みすぎ

 チベット医学は西洋医学が全く手薄である食生活、性生活、日常生活、社会生活、気温・季節・湿度、そして心の持ち方まであらゆる細部を指導できる医学と言える。西洋医学の研究が全く進んでいない分野に特化し、これだけ系統だって研究していることに驚くばかりである。→次の本文を読む