自殺に見える他殺(本文)

 主人公が中学生の頃、家にいると「ガン」という音がした。その時は何の音かわからなかったが、買い物に外に出ると、飛び降り自殺の現場に遭遇。「ガン」という音は落ちた時の音を霊感で感じていたと気づく。その自殺者の霊が主人公に取り憑いた。主人公は気づくとマンションに昇り、柵をよじ昇っていた。主人公が憑かれた例に操作され、飛び降りる寸前で先祖の霊が助けてくれて正気に戻った。
 主人公が経験したような自殺に見える他殺未遂は、実際には世界中にいくらでもあると思われる。自殺者は多かれ少なかれ霊に操作されている可能性がある。
 霊感体質を持つ人は器であるから他の霊に操作されやすい。自殺者の霊は人を自殺に追いやることを正義であると考えているため、波長の合う人に撮り憑いて自殺へと導く。
 これは自殺に限らず、無差別殺人などの凶悪犯罪でも同様のことが言える。過去に凶悪犯罪を犯したことのある霊体は殺人こそが世の中の正義であると信じている。だから同調した人に撮り憑いて犯罪をするようにそそのかす。おそらく世界で起こっている凶悪犯罪のほとんどに憑依霊が後押ししている。
 ただし、だからといって罪を憎んで人を憎まずという論法は通用しない。自分自身が凶暴な霊を引き込んでいるからだ。ところが、稀にこの主人公のように「死ぬ気などない」にもかかわらず肉体を乗っ取られてしまいベランダから飛び降りさせられそうになる場合がある。その原因が自殺者の霊の場合もあれば呪いで作った生霊の場合もある。恐ろしい話であるが私たちの思考は常に霊体にのっとられる可能性があることを忘れてはならない。  殺意が芽生えた時、自殺願望が芽生えた時、そのほとんどは自身の魂が乗っ取られていると考えて間違いないだろう。しかし、それがわかっていてもその欲望を制御できるかどうかは別問題である。 →次の本文を読む