粗雑な実験は真実を破壊する(要約)

 さきほどの頭痛薬の例をあげよう。いつの時点で効果を判定するかによって効果は変化する。 例えば効果判定を服用後24時間と設定した場合、発症から24時間経過もすれば薬を飲まなくても多くの人が自然治癒してしまう。よってプラセボ効果が際立つようになる。逆に効果判定時間を服用10分後とした場合、プラセボ効果は出にくくなるだろう。だが、頭痛が軽くなる時間としては不十分であるから効果が出にくい。

 このように、医学的な実験においては条件を少し変えただけでも「無効」という結果を招く。効果判定時間を厳密に服薬1時間後と指定した場合にのみ、薬の有効性が示されることになる。これは医学的な論文を書く時、全てに共通している。「厳密な条件指定がなされている実験」では「効果あり」と出るのだが、「条件が甘い実験」では無効という判定が出てしまうという特徴がある。→本文を読む