科学思考のプロセス(本文)

 私たちは生きている時代時代においてその時代に信じられている理論を教わる。そして教わった理論を否定することで新たな理論を構築する。
新たな理論は旧理論に1)疑問を持つことから始まる。例えば「天動説」は私たちの周りを月や太陽や恒星などがぐるぐる回っているという理論で、18世紀まで信じられていた。
古代ギリシアのプトレマイオスは地球を中心に太陽を含む月・水星・金星・太陽・火星・木星・土星が回っているという理論を綿密な天体観察から打ち立てた。ところが惑星が逆行する運動を説明できないという新たな疑問が発生する。このような新たな疑問のことを「理論の例外」と呼ぶことにする。科学的な理論はこのような2)「例外」の発見によって破壊されるという特徴を持つ。
例外を指摘されたプトレマイオスは「惑星の各々がその場で小さな円運動をしているから逆行運動が見える」という3)「つじつま合わせの推論」を提唱した。しかし、この時代は「推論を論破できる新たな例外」を提示できるほどの科学力がなかったため4)妄想的推論が民衆に着想した。以降、18世紀までこの妄想は破られることがなく、民衆は妄想着想を真実であると信じた。長きに渡り、嘘の科学が信じられていたが、実際に地球を世界一周する航海者が現れ、その行動で「地球が丸い」ことが証明された。そして16世紀になってようやくコペルニクスが「天動説」を論破した。しかし、地動説が発表されたのはコペルニクスの死後である。カトリック教会が混乱に陥ることを避けるためにコペルニクスは公表を避けたからである。さらにコペルニクスが発表後も地動説を広めようとする者が処罰を受けた。
このように科学理論は、1)疑問を持つ、2)例外が発見される、3)つじつま合わせの発想(妄想)、4)発想(妄想)着想、1)疑問を持つ、というサイクルを永遠と繰り返す。妄想着想の期間が長ければ民衆は長期間真実から遠ざけられた状態を経験し被害を受ける。例えば天動説のおかげで民衆は大航海という旅に出て行くことができなかったという実害を被っている。ただし、真実というものがこの世に存在しないという哲学がある。アインシュタインの相対性理論もその一つである。相対性とは「見る者の状況が変われば真実の見え方が変化する。物事は全て相対的なものであり、真実というものが存在するわけではない。」という意味である。しかし「明らかな嘘」というものは存在する。
嘘の科学理論が真実と受け取られていた期間が長ければ長いほど人類に被害をもたらす。
「例外を発見する」ことは科学理論から嘘をはぎ取っていく鍵となっていることがわかるだろう。そして例外に対してつじつま合わせの発想をすることにより新たな科学理論が生まれる。
発想を実証できるのなら実証科学という名前で呼ばれ、実証はできないが実在する可能性が高い場合は実在科学と呼ばれる。また、実在を肯定も否定もできない場合は観念実在科学と呼ぶ。全ての科学理論がだいたいこの法則にあてはまる(難しいことを言うと、実証は既存の理論を基にしている。既存の理論が正しいとは限らないので実証自体が真実ではないという理論がある)。
ここでは科学理論とはこうも不確実なものであるということを認識して置いてほしい。
科学思考のプロセスは「科学的にという言葉を使えばほとんどの人が信じる」というような人間支配の延長上に位置している。そして量子力学は近代にはびこった物理・化学の妄想着想を破壊しにかかっている。さしずめ、量子力学が意図せず破壊しようとしているのが西洋医学である。当然ながら量子論に関わろうとする者は既得権を守ろうとする科学者たちから大きな抵抗に遭う。そういう意味で「量子医学」は、戦争の最前線にある。 →次の本文を読む