科学の暴力(本文)

 科学の力で軍艦や飛行機を動かし、科学の力で国を消滅させるほどのミサイルを作り、科学の力で情報を盗み取る。科学は圧倒的な暴力である。そして国を支配する首脳陣(官僚)選出も学力でふるいにかけられる。
 そして「科学的に」という魔法の言葉をかけると、次の日には納豆が完売、ヨーグルトが完売・・・など、それを信じる猛信者たちが一斉に動き出す。健康番組で教授が「〇〇が健康にいい」と言うと、誰もがその健康法を試そうとする。「科学」という言葉がキーワードになり、それを聞いた国民は瞬間的に科学の奴隷となり心を支配される。その催眠効果には驚かされる。
 わが国民は科学秩序によって作られた社会の支配階級をしっかり守って生きている。したがって、国民に物を買わせたければ「科学的データ」を添付し、信用させたければ科学論文形式で文章を書き、普通の人も「科学を用いて人々を自由に支配」することができる。
 そして今では選挙の票は「医療の質をどう上げてくれるのか?」で動き、その結果、医学は国家予算の最大を占める巨大産業となった。薬局の数はコンビニエンスストア以上になり、保険適用である接骨院もまたコンビニエンスストア並みに林立している。
 医学はまさに科学の象徴であり、医学が命を守り、医学が人生を充実させ、医学と健康が全てであるという幻影を国民に見せている。
 そしてお金儲けをたくらむ人々は「医学的データ」「科学的データ」を釣り餌にして、健康食品、健康グッズを売りさばき、大いに儲けている。日本国民が科学に支配されていることをビジネスマンたちは決して見逃さない。だから儲けるために科学という宗教を利用している。科学(医学)には嘘がなく、科学(医学)が示すことをすれば健康に生きられると誇大広告をするようになった。国民は科学教の猛信者であり、科学を印籠のようにふりかざせば誰もがひれ伏す。そしてやすやすと支配することができるのである。
 科学の権威者は当然ながら世の中を支配する力を持つ。よって大学支配、教授支配という図が展開されている。テレビ番組を見ると、教授と名のつく人がいろいろと持論を展開するが、その内容が非科学的であっても、もはや人々は教授の発言を信じるようになった。それはまるで教祖と同じ。人々が科学を信じるがゆえに、特定の教祖を信じるということはないが、教授という名がつけば、誰もが教祖となれる。それが科学教である。→次の本文を読む