祈りの力(小松健治先生)(本文)

 上記のアレクシー・カレルの著書に言及し、祈りの力を確信し、自然医学で難病治療を行っている小松健治先生の理論を、彼の著書「医者が学んだ祈りの力」を参考に解説する。彼は既成の自然科学や西洋医学を中心とした「科学的常識」を超えたものが存在していることを認めている。
 彼は千島学説の支持者である。千島学説は岐阜大学教授、千島久男先生が唱えた血液細胞の仮説である。キズが治るのはキズ面に出てきた多量の赤血球が白血球になり、結合組織や表皮細胞になると述べ、主役は赤血球であり赤血球こそ万能細胞であると仮説を唱えた。
 この仮説は前述した携帯形成場、生命場と考え方の根本が似ていることに注目しなければならない。赤血球が幹細胞に戻って体の全ての器官にあるような細胞に変身できるという仮説はすなわち、その変身を制御するための設計図や司令塔が不可欠ということを意味する。千島学説がその司令塔や設計図の存在を主張しているのも同然であると私は考える。つまり千島学説は暗に形態形成場や生命場が存在していると主張していることにつながる。
 それは既存の科学理論を根底から覆してしまうため、千島学説は外部の圧力で世に広まらなかったとこの学説の支持者たちから言われている。
STAP細胞が潰されたことは皆の記憶に新しいが、実はSTAP細胞の論文が事実であるなら、小保方氏の主張もまた形態形成場や生命場を肯定することになる。なぜならSTAP細胞は外的刺激によって普通の細胞がどんな細胞にも変身できることを述べた理論なので、その変身を指令する「何か」が存在しなくてはならないことにつながる。
この「何か」はおそらく単なる刺激だけではない。何にでも変身できるのだから得体の知れない力の存在につながる。その力を機械論科学者たちは憎悪の念をもって嫌っている。その敵意を持ってSTAP細胞の論文が潰されたと生気論科学者たちは理解している者も少なくない。
 おもしろいことに前述したシェルドレイクは科学論文が葬り去られるシステムまで科学的に論述している。あらゆる論文が、どんなに完璧に実験研究したところで、重箱の隅をつつかれると理論のつじつまが合わなくなること、追試では実験者の悪意や期待によって実験結果が変化すること、そもそも科学と言う不完全な理論では証明できないこと、などを主張している。そしてデータの捏造は日常茶飯事であるが、機械論者の論文は「ねつ造があっても誰も論破しようとしない」ことの実例もあげている。彼は科学論文そのものの権威をおとしめた。よってシェルドレイクという名が出ただけで、機械論者たちはその論文をあざ笑い、彼の名誉を傷つけるという罰を与えている。だから彼の論文を参考文献として採用しようとする研究者がいない。シェルドレイクにとって最も痛いところをつかれている。
 と、このように科学と超常現象は常に戦争をしていることを理解しておく。が、科学の力は非科学よりも圧倒的に強いことを頭に常に入れておく。すると、非科学の論文を大きな心を持って受け入れ、科学の論文を話し半分に聞くという癖がつき、事実を見抜く目が養われる。
 さて、彼もまた「地球自体、宇宙全体が持っているエネルギーで自然治癒力が生まれる」「祈りに通じる心、気、あきらめない心、日常生活の改善でどんな病気も治る可能性がある」「魂を磨くことで幸せになれる」と主張し、密教的な世界観を持っているようである。密教の理論がどういうものであるかは後で解説するが、真実を見ようとした医師たちの多くの考え方が密教の理論と結局は通じていることに驚きを隠せない。→次の本文を読む