病気になったらなぜ病院に行くのだろう。それは病気を化学薬品で機械的に完治させることができると私たちが信じているからに他ならない。そして医療には、西洋医学と反発していて、しかも病気によっては西洋医学以上に劇的に治すことのできる他の治療法がたくさん存在する。だが、その情報を知る者はほとんどいない。とにかく病気になればまず病院に行く。理由は「西洋医学は全てが機械的で早く、国がお金を補助していて安い、そこそこ旨い」からである。
私がここで西洋医学は機械的に薬を出すだけで、症状の緩和は見込めるが、治すことはできていないことをどれほど述べたところで無駄である。それは人々の多くが機械論に支配されているからだ。
しかし、実際は西洋医学は早くも安くも旨くもない。高血圧・糖尿・高脂血症・アトピー・喘息・各種の痛みなどは薬では治らない。永遠に通院するから多くの時間を割く。そして毎年何十兆円というお金がかかっている。これはまさに医療ビジネスそのものであり、裏で手を引く医療マフィアの存在をにおわす。
医学が無能であるという意味ではない。確かに救命救急や感染症、早期癌、心疾患などで多くの命を救っている。それは称賛に値する。しかし、私たちが日常的にわずらう慢性病を根本的に治癒させることは医学にはできない。機械的に救えるのは一部の急性疾患であり、日常的な慢性病は「薬でしわよせ」しているにすぎない。つまり、日常的な病気に医学は追いついていない。
医学は機械論であるからして、国民に「医学ではできないことが多い」ことを述べると支配階級から反撃をくらってしまう。血気盛んな良心的な医師は、その反撃に命がけで反抗するが、私は少し冷めていて、反抗自体が無駄であると悟っている。
学校で「科学ができないこと」を教えることがタブーなように、国民に「医学ができないこと」を教えることはタブーである。私はそのタブーを国民に教えるために何十冊分の論文をネット上に無料で掲載し、人生の大半の労力をかけたが、何の影響力もなかった。
機械論者は「神秘的と思えることも、少し観点を変えて、少し創意工夫をすると科学で説明がつくようになる(今はだめでもいずれ必ずなる)」と盲信している。
では、機械論者が「西洋医学にかかっても治らなかった」という事象に遭遇した場合、彼らはどう反応するだろう。機械論でその病気を説明してくれる医師を探し続け、世界のどこかに機械的に自分の病気を治す方法があることを信じてドクターショッピングをするだろう。とにかく、なんとしてでも理屈で自分の病気を説明づけて治すことを永遠と探し続ける。自分が納得できるセリフを述べた医者に妄信的についていく。私は医師を30年間経験し、それをようやく理解した。つまり、彼らに真実を語っても無駄である。
「西洋医学では治らないことを認めなさい。まずはそれを認めないと治す方向に意志が向かないよ。」と説明するのだが、納得した患者はゼロだった。機械論の信者である患者たちは、私をあざ笑い、その次に怒って帰っていった。私は30年間それを繰り返し、「患者もいつかは機械論から目が覚めるだろう」と期待したが、無駄だった。機械論は人を支配するための手段となっていて、そこから脱出するためには奇蹟が起こらなければならない。→次の本文を読む