人間は社会的動物であり、集団にならなければ生きていけないという環境が与えられている。戦争の歴史がそれを物語っており、集団で暴力(武力)を強化しなければ他の集団に襲撃されて生き残ることができない。すなわち、支配-被支配の体系を作ることでのみ人間は生存して行ける。私たちは、強大な支配者が死去し、その権力が失われると、各地で戦争が起こり戦乱の世になるという歴史を繰り返して来た。戦乱の世は再び一人の支配者ができるまで終わらない。
これを防ぐためには、一人の人が支配する集団(国家)ではなく、「教義に従う集団を作っていくこと」が必要である。教義はいろんな形をとる。儒教のような学問もあれば各種宗教もそうである。教えに従う集団が平和維持に必要不可欠である。宗教は平和維持のために不可欠であった。そして現在でもその原理が働いており、宗教があるおかげで戦争をすることなく人々が自由に生きていられる。これを聞いて疑問に思うだろう。現在の日本は無宗教であり、それでも平和は維持できていると。さて、この疑問が本章のテーマとなっている。→次の本文を読む