悪霊の雪だるま(本文)

 主人公が阿闍梨になる前、「屋敷の中を見てもらいたい」という依頼があった。今は空き家になっている離れの家に入ると古い妖怪、ここで亡くなったおばあさんの霊、親子連れの霊(娘は死霊、母は生霊)がいた。母の生霊と依頼主は肉体関係にあり、以前、妾として住まわせていたらしいことが判明した。
依頼主がこの母子を追い出そうとしたとき、母が娘を殺して無理心中しようとして母だけが生き残り、今は精神病院にいる(だから母の生霊がいた)。その母子の霊に誘われるように古い妖怪がこの家に棲みつき、その妖怪の祟りが原因でおばあさんは亡くなって未成仏霊となった。このように悪霊が悪霊を呼ぶような形で、気が悪い家はさらに気が悪くなっていく傾向がある。
 ここで重要なことは、生霊か死霊かにかかわらず、ネガティブな感情を持ち成仏できない霊体は妖怪を呼び寄せる可能性があるということである。妖怪とは17-7.で述べたようにいろんな霊の集合体(キメラ)であり、集合することで新たな邪悪な意思を持った意識複合体であろう。おそらく妖怪は成仏も転生も難しいと思われ、害が少ないなら無視されるが、害があるなら抹消される運命にある霊体かもしれない。
 主人公はこれらの霊をお祓いするために大量の神仏の力を注ぎ込んだ。それを依頼主が十分に感謝しないなら、神仏の眷属が依頼主に罰を与えに行くだろう。罰を与えるのはたいてい眷属である。
 依頼主が感謝の気持ちとして金銭をたくさん用いてお布施をしていかないと、その罰を主人公も被ってしまうそうだ。だから感謝の気持ちを表すことができない人の依頼は引き受けないほうがよいらしい。この辺の話はいささか商売に偏っているような気がする。→次の本文を読む