小林健先生のあの世観(本文)

 あの世では平等。地獄に落ちるということはない。あの世には絶対的な平和しかない。と彼は言う。
 子どもはたくさんある夫婦の中から親を選んで生まれてくる。使命を持って生まれてくる。天国は同じ波長を持つものが自然に集まってくるところ。地獄はない(神様談)。生まれ変わるには何百年もかかる(神様談)。ホームレスも大統領も人生の終わりは必ずハッピーエンド。人は生まれたときにすでに寿命が決まっている。輪廻転生は基本的にはない(同じ人格、同じ肉体を持って生まれ変わることはまずないという理由)。全ての死者は成仏している。死者は自分が死んだことを一切悲しんでいない。お墓や仏壇は習慣的なもので大きな意味はない。

 このように小林先生の考え方は密教や仏教とも他の霊能者たちとも大きな相違点を持つ。全ての死者は成仏し、あの世は天国一色であることを、ご自身の幽体離脱体験を元にして主張している。魔というものの存在を考えたことがないようである。
小林先生独特のこの相違点の原因を合理的に推測するならば、彼がトリップした霊界が他の霊能者が経験する霊界と次元が異なっているということになる。彼が幽体離脱して実体験した霊界はたくさん存在する次元のうちの一つであり、その独特さゆえに意見の相違が生まれたと私は考える。
 彼は7歳の時に神様から直接「地獄は人間が生み出した概念であり存在しない」と言われた経験がある。しかしながら世界中の他の霊能者たちは、ほとんどが地獄の存在を支持している。このどちらも真であるとすると、次元の違いか、地獄そのもののとらえ方の違いでしか説明がつかない。
 霊能者たちは自分が遭遇した神の意見は「ほぼ絶対である」と錯覚することを回避できない。ところが遭遇した神の知識は全智ではなく、神の住む次元によって知識の限界がある。
 また、神と名乗っている霊体が極めて低級霊のこともあり、実は神の意見は正しいとは限らない。再度言うがこれらが霊能者同士の見解の相違を生む。神はそのランクが高ければ高いほど全智に近づくが、逆にランクが高い神ほど人間に干渉しなくなりお告げもしない。より具体的なお告げをくれる神ほど低級であるといえる。つまり神様の言うことは正しいとは限らないということを霊能者たちは受け入れなければならない。
 小林先生は「天国は波長の合うもの同士が集まる」と主張していることから、彼の波長はすでにほぼ天国の波長と一致するのだろう。波長の高い者しか集まらない世界のみを彼は幽体離脱して旅しているのだろうと考える。つまり、彼の波長が神々しく、彼の周囲にシールド(結界)がはりめぐらされていて、邪悪な波長が彼に近づけない。その隔離された聖域に彼の霊体が存在するので「地獄はない。あの世は平和。全員成仏。」という見解になる。よって彼の言うあの世観には虚無感が漂う。光だけの世界であり影が全くないからだ。絵の中に影をつけなければ、その絵は立体感が出ずに不自然。彼の理論を素直に受け入れられないのはこの虚無感による。
 だが、私は闇や穢れに染まらず、ただひたすら病人を治すという志の小林先生に多大な敬意を払う。普通の霊能者なら、彼ほどの力があれば人を支配するためにその力をみせびらかすだろう。それをせず、質素にひたすらヒーリングする姿勢は見事である。
 最後に、5度の死には闇の力が関与していた可能性がある。そうでなければ人生で5度も致死の事故に遭遇しないだろう。致死の事故に5度遭遇する確率は極めて低い。だが、小林先生は絶対にそう考えないだろう。闇の力も魔も命を奪うほどのパワーも彼にとっては「どうってことのないハッピーな力」に置き換えられてしまう。そのポジティブさは人間離れしている。世界中の人間が彼を見習えば、闇や魔はこの世界で餓死してしまう(笑)。おそらく彼も、彼を守っている神もそのことを人間たちに伝えたいのだと私は思う。→次の本文を読む