密教の命運(要約)

 密教は国王からの庇護がなければ滅ぼされるという運命にあると言っても過言ではない。日本では天皇家が庇護したため現存している。密教は霊能者に伝承する教えであるから一般大衆には普及が難しい。よって国王が保護しない限り数によって滅ぼされる運命にある。
 逆に言えば、人数的に軍事力的に圧倒的に弱小である密教が、現代に存続していること自体が奇蹟と言える。その奇蹟が起こる理由は、まさに密教の持つ霊能力のおかげであろう。霊能力があるがゆえに、時の権力者に守られるのである。おそらく密教の僧侶一人の霊能力は数万人の軍勢に匹敵する。
 チベット密教は13世紀、モンゴルからの攻撃を受けるが、不思議なことに密教はモンゴルに手厚く庇護されることになる。その当時交渉に当たったパクパ(聖者と呼ばれた)の功績と言われるが、密教には軍事力に勝る力があることがこのような史実からうかがえる。→本文を読む