彼は魂・意識、捉えることのできない世界観の実在、表宇宙と裏宇宙の存在、多次元・パラレル宇宙の存在、魂の誕生のポイント「ゼロポイント」などを説いている。彼の言うゼロポイントの概念は、密教で言う「第一物質(原初的物質)」、「世界の究極的原理の幻想」と通ずる。「存在する全ての要素や現象は、同一の力または物質の変形物にすぎない」とする観念である。彼はその同一の力、同一のエネルギーとつながることでその人の人生が大きく変化するという。つながることは仏教で「悟りの境地」という。第12章で紹介する密教の考え方と一致している。
意識を持ったエネルギー体である魂は長い遍歴を持ち、その魂が地球上で肉体を選んで存在している。そして魂は進化・成長することを目的としており、自分にふさわしいテーマを松果体から選んでいると彼は述べている。
仏教では「一切の精神的・心理的能力が完璧・円熟、完全な調和の状態となり、その意識が宇宙の無限性を包含している状態」を完全なる悟りと定義している。彼の理論は仏教の悟りへの教義と密接なつながりを感じる。つまり魂が悟りを得るために地球上に肉体を得たと考えるのである。
つい、20年前まではこれらの密教的な考え方は科学者によって嘲笑されていたのだが、今日では量子力学の台頭により容認可能な理論となった。だからこそ彼のような理論を述べる医師が出現し、これほど飛躍した理論が書店に並ぶようになったと言える。彼の理論が奇抜なのではなく、紀元前から言われ続けていたのだが、科学に押されて表に出ることができなかったと言える。
また、密教では「首尾よく第一物質を発見しえた者は、さらに自然の神秘を解明して諸要素を制する力を得るばかりでなく、不老不死の例厄をも発見するだろう。」と言われている。というのも、発見者は事物をその根源へと還元し、一定の質を変更したり付加したりすることで、何でも望むものを創り出すことができるからだ。私たちはこのような力を持つ者を神と呼んでいる。→次の本文を読む