奇蹟として認めない強硬姿勢(要約)

 カレルの死後、公表された「ルルドへの旅」は科学界にとって大いなる衝撃であった。が、科学者たちは当然ながらカレルの体験談を「そんなものは奇蹟でも何でもない」と断定する必要があった。
 彼の死後20年が経過した1960年代、カトリック教医師のジャキにより、公式に「ルルドへの旅」が「そんなものは奇蹟でも何でもない」と断定された。
 理由は、医学的、科学的記録が不十分、ということだった。私は医師なのでその意味をしっかり理解できる。簡単に言えば証拠不十分。主観的で妄想の域を脱さないという意味である。
 仮に奇蹟的に治した場合、最終的には「それはきっと精神病だったのだ。精神が病んでいたために幻の病気を作り出し、その精神が癒されたために病気が消えてなくなったのだ」と言い訳されることを私は医師として熟知している。科学支配の世の中でカレルのように「医学を否定するような手記を残した者(しかもノーベル医学賞受賞者」の作品は、公式に否認しておかなければならなかったという現実だけが残った。

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