因果関係の否定法(個人)(本文)

 多人数での実験でさえ上記のように否定することができる。ならば少人数の実験ではどうか。それは「疑似科学(トリック)」と言われてさらにたやすく否定されてしまえる。「一人の人間が一つの奇蹟を起こした」という場合、その奇蹟はトリックと呼ばれてしまうことを、人間界では避けることが不可能である。超能力を用いて行われた実験はマジシャンによって否定される。マジシャンが超能力者と同じことを披露し、そのトリックを暴露すればそれだけでいい。
 だが、このトリックを用いた否定法は残念ながら笑い話である。
 例えば、目撃者Aさんの証言で殺人犯人が特定されたとする。その現場に3Dホログラムを用いて殺人犯の映像を写し出したとする。捜査官が「あなたが見たのはこの3Dホログラムと同じですね」。Aさん「はいそうです。」。捜査官「あなたが見たのは実際の人間ではなくこのようなホログラムの可能性もありますね。」。Aさん「まあそうですね。」。捜査官「ではあなたは実際に犯人を見たとは限りませんよね。」Aさん「はあ???」。
 と、誰が聞いても笑い話にしかならない非論理的なトリックを用いた否定法であるが、実際はこの笑い話が超常現象の否定法に用いられている。→次の本文を読む