呪術は現代に息づく(本文)

 呪術という言葉を聞くと、フィクションの世界のことと思うかもしれないが、現代においても呪術を使って人に害を及ぼす念を飛ばし、悪影響を及ぼそうとするやからが少なくない。その理由は、呪術は現代の法律で罰することができないからである。呪術で何人殺そうとも有罪になることはあり得ない。呪殺は今も昔も完全犯罪である。このメリットがあるからこそ、呪術はすたれないとも言える。
しかし、中世のヨーロッパでは呪術を使った者を罰しようとする運動が各地で起こった。それがいわゆる「魔女狩り」である。魔術を使うもの、霊感や霊能力があると思われる者がしばしばリンチに遭って殺された。魔女狩りは現代でも起こっており、最近ではパプアニューギニアで霊能者が殺されるという事件が起きている。
忘れてはならないこと。それは生霊を用いて意図的に人を殺めることを職業としているプロ集団が存在していること。そうしたプロ集団は世界各地にいて日本人が日本人をあやめるとは限らないこと。アジアの国々では比較的安い料金で呪殺を引き受けてくれるらしい。呪殺は法律的に裁くことができないため立件されることはない。陰陽師はそういう者たちからの呪詛を跳ね返すことを生業としている。が、陰陽師以上に呪詛を跳ね返す能力のある一般人霊能者も存在すると思われる(陰陽師として厳しい修行をされてきた諸先生方には申し訳ないが)。後で紹介する井口先生がその一人であると私は思っている。→次の本文を読む