医師たちの苦悩(本文)

 例を挙げればきりがないので医師たちが向き合っている奇蹟の治療の紹介はこのくらいにしておく。実はもう一人、紹介しておきたかった医師で霊能力をお持ちの奥山輝美先生がいるのだが、彼の治療は完全に霊能力治療なのでここに挙げた先生方とは一線を画している。そのため消化不良を起こしてしまうおそれがあるので、後述することにした。
 真摯に患者と対峙することができた医師は「西洋医学が患者のためにあるわけではない」ことに気づき良心を傷める。その良心の呵責にしっかりと向き合って「患者のための治療をしよう」と奮起できる医者は非常に稀である。その理由は医学への反逆児になることを意味するからに他ならない。
 ここに挙げた例では彼らが行っている治療法がいかに医学的に認められていないものかがわかる。そして医学が認めない治療を行うことで社会的な地位を落とされ、大病院を追放され、国からも見放される(よって自費診療となる)ことがわかる。
 医師たちがわざわざそうした苦難に入り込むのは負け犬だからではなく、良心に従うからだ。
 そして彼らは「西洋医学が治せない難治性疾患を奇蹟のように治してしまう治療法」を目の当たりにする。その時に「そんなことはあり得ない。何かのマジックだ。」と無視するか、「せめて事実関係を調査しよう。」と乗りだすか?に別れる。1000人中999人の医師は事実を調査することはしない。なぜならそれはプライドを傷つける作業だからだ。だが、1000人に一人の医師はそのプライドの壁を乗り越えることができる。そしていろんな治療を「まずは体験してみよう。」と乗りだすのである。
 体験すると、自分たちが治せなかった病気を「治すことができる施術師」が日本のあちこちにいることを知る。
 それが水素であったり、パワーストーンであったり、色彩療法であったり、レメディであったり…、とにかくまずはたやすく取り入れられる「商品化された物品」から手をつけていく。しかし、それらの「商品化された物品」は治療効果が出ない人も多いことに気づく。それはそうだろう。治療効果がしっかりと出るのなら、もっと大々的に広がり、しかもすたれることなくロングセラーになっているはずである。そうならないのは一部の人には効くが、過半数に効かないからである。
 そうなると医師たちは次に「確実に治療成果を出せるもの」を模索する。すると、そこには技術が介在している。鍼灸やカイロプラクティック、特殊な指圧から霊能、催眠、気功治療まで「技術がなければできない施術」では治療成功率が高いことを知る。
 そこで医師たちは勉強会に参加したり、技術のある人に弟子入りしたりして身につけようとするのである。そして新たに学んだ技術とエビデンスに乏しい商品を組み合わせて治療を行い、治療実績を飛躍的に伸ばすのである。
 だが、それでも全員を治すことができないという壁に必ずぶつかる。しかし、来院する患者はみんな難治性慢性疾患の持ち主であり、自分の評判が上がれば上がるほど「治りにくい患者が集まる」ことになり、それが治せないことに心を傷めることになる。
 その治りにくい患者を治そうとするならば、自分の治療技術を上げるのではどこまでいっても無駄であり、「患者側に治りにくい理由があるのではないか?」という考えに行きつく。
 ただし医師がこの考えに行きつくためには、不屈の精神と素直さとこれまでにある程度の実績と成功を納めた必要がある。
 そして「患者側にある原因をつきとめる」ことに思考が及んだ医師は、これもまた必ず密教へと入っていくことになる。つまり目に見えない高次元世界に病気の原因があることに思考が到達するのである。
 世界には目に見えない摩訶不思議なエネルギーを商品化した偉大な科学者たちが大勢いるが、彼らは密教の領域にまで達していないことから、精神的には未熟であったと言える。地位や名声、成功を手にするために、科学理論を優先し、病気には「科学理論が全く通用しないはるかに広大な意識の世界があること」に気づくチャンスを逃したからである。
 癌を治せた偉大な水、オルゴンエネルギー、ピラミッドパワー、パワーストーン、確かにそれなりに効果があることは認めるが、そうした無機質から得られるエネルギーは生体から作られる有機的なエネルギーの複雑さには全く及ばない。それは石ころから生き物を作りだすことができないほど桁違いの複雑さなのである。
 一見難治性の様子を呈した病気(癌も含む)が、少しの祈り、少しのレメディ、少しのオルゴン療法で治ってしまうことはあるが、それでは治せない難治性疾患がある。真に難治性の病気では、治療中に治療師が病に侵されてしまうほどに悪質であり、その悪質さは伝染することもある。そうした厄介な病気を霊能者たちが扱うが、患者の日常生活を指導するだけでなく、過去生や現生の因縁を探って除去していかなければならないこともある。そうした複雑で凶暴な病因を、無機質な商品で解決できればよいが、さらにワンランク高いレベルの難病が存在する。それを解決するためには、もはや人間の知恵ではどうにもならず、高次元世界の意識体のエネルギーを借りなければならない。一般的にそれを神仏の力と呼んでいる。
 祈りの力は神仏の力を引き出せる可能性を秘めているが、世の中には神仏の力を単に引き出しただけでは解決しない難病もたくさん存在している。難病ととことん真剣に向き合う者は医師は必ず霊界や密教の世界に必ず足を踏み入れることになる。が、そこには苦悩と葛藤がつきまとうようだ。→次の本文を読む