医学的な再生のシステムと問題点(本文)

 傷が修復されるなどの再生システムは医学的にほぼ解明されているかのように言われている。
 代表的な考え方は、特定の化学物質の濃度勾配、化学的フィードバックを伴う「拡散-反応」システム、電気的変化、電気的あるいわ化学的振動、細胞間の機械的接触などだが、他にも多様な要因が考えられ、またその組み合わせだともされる。これらの物理学的または化学的要因が「位置情報」を提供し、これを細胞がその遺伝プログラムに応じて「解釈」し、特定のたんぱく質の合成を「スイッチ・オン」にするという(ウォルパート1978年)。しかし、DNAの塩基配列だけで、果たしてそれだけのコマンドが動かせるのかという問題がある。
 私はこの問題を人文字に例える。甲子園の高校野球の応援には人文字が使われることがある。その昔、PL学園はパネルを用いて多彩な人文字を作って応援しテレビで話題になった。さて、あなたが人文字の中の一人だとして、指令書なしで、前後左右の人の顔色だけを見ながらパネルを挙げて、文字を作ることができるかどうか?という話が、先ほどのウォルパート説の問題点である。各細胞は自分の役割を知り得ない。しかし抜群のタイミングで的確にたんぱく質を合成し、的確に分裂し、的確な形態になり、適切に分裂をやめ、細胞死を迎える。それらは全て隣の人の顔色を見てコントロールし、指令書などないというのがウォルパートの説である。指令書なしで人文字が作れるかどうか?やってみればわかるだろう。できない!
 宇宙飛行士は無重力の空間で生活をしていると、骨粗しょう症になることが知られている。骨にかかる重力が骨を再生させるためのコマンドになっていることの確かな証拠と言える。この現象をアインシュタイン風に解説すると、「骨芽細胞が重力場に影響されて細胞分裂が促進される」となる。つまり、細胞の再生に場が影響していることを既に医学は認めている。ならば、重力場が消失すれば、骨の再生方向がばらばらになり、身長が低くなって、あるいわ骨格がまんまるの体系になっていくのだろうか? 宇宙ステーションに10年暮らせばその結果がわかるだろうが、おそらくそんなことにはならない。重力場が消失しても骨の再生は今まで通りの体型を維持するだろう。骨の再生に重力場が関わっていることは間違いないが、重力場だけで人間の骨格を正確に維持することはできないだろう。
 整形外科では電磁波や超音波を用いて場を変化させて骨の再生速度を高めることが行われている。これは電磁場の変化が幹細胞の分裂を促すことの証拠となっている。しかし、大腿骨の骨折部から幹細胞を採取して、ハイドロキシアパタイトと混ぜ合わせて電磁場で刺激し、大腿骨を作るということはできない。いや、形態形成場を利用できれば大腿骨が建設されるかもしれない。
 骨は骨折して曲がってくっついても、数年で湾曲が矯正される(20度以内)。これを力学的な理由だけで説明がつくと医学者たちは言う。ではO脚やX脚はどうだろう。医学者たちが主張するように、重力場と力学だけで説明がつくのだろうか。
 ここで再びオオシロアリの巨大アリ塚の話を持ちだすと、アリが左右から柱を作ってアリ塚のアーチをきれいに作っていくのを見て「重力が原因だ」と主張するようなものである。

シェルドレイクは形態形成理論の問題点を次のように指摘している。

1. チンパージと人間ほど距離のある種族の遺伝的な差異が1.1%しかない。よって、種族の差異は遺伝子のプログラム以外からも来ている可能性がある。

2. 人間の腕と足は機能的にも形態的にも大きな差異があるがDNAにおいては差異がほとんどないので、この機能的・形態的差異の理由をDNAそれ自体に求めることができない。つまり、DNA以外にパターン決定要因があるとしか考えられない。パターン決定要因は極めて精密であることがうかがえる。精密すぎるので機械論者の物理化学的な考察では説明できない。

3. たとえ物理化学的な要因が判明したとしても、その要因がどんな手段を使って精密な形態を与えたのかは説明できない。細胞性粘菌類の形態形成パターンを例に、わかりやすく説明する。アメーバが集まって合体してナメクジのようになり、しばらく動き回った後に柄と胞子嚢とに分化して子を作る(わりと有名な話)。細胞が集まるのはcAMP(サイクリックAMP)が関与していることまでは突きとめられている。だが、cAMPは原因なのか結果なのかの判断はつかない。cAMPだけでcAMPの分布パターンや種によってそのパターンが異なることを説明することはできない。cAMPの分布パターンを決定する要因が他になければならない(多種多様な意見がある)。
 例えば、これを植物に置き換えてみる。植物はオーキシンが維管束形成に関与していると判明している。細胞の成熟→タンパク質の分解→維管束分化→オーキシン生成、という理論。が、これでは分化パターンがどう作られたかの説明にはならない。

4. 分化パターンの位置情報の問題。単純な考え方として化学物質の濃度差で特定されるというものがある。例えば、ある以上の濃度にさらされた細胞はある蛋白質を合成、これより低い濃度では別のたんぱく質を作るというようなもの。しかし、作られた蛋白質がどうして特有の3次元構造になるのか、細胞はどうして集まるのか。機械論者(医学者も含め)は全ては物理的相互作用で説明可能という。確かに試験管の中で蛋白質は構造を形成し、生きた細胞の中で作られる構造を形成できる。だが、これを結晶作用の一種だと言ってはならない。

 彼は「実際に起こることだけを理由に、それを物理学的に証明できると言ってはならないという正論を述べている。実際は「物理で証明するためには真実を無視した飛躍」が必要であり、科学者の多くの理論が「飛躍しすぎている」と述べている。
彼の意見はもっともであり、間違いなく正論であるが、それはあまりにも身もふたもない話になってしまう。毎日研究室にこもり、一生をかけて論文を書き続けている科学者たちの人生を否定するような言葉になっている。それでは全研究者から敵視されてしまうだろう。
 彼が言いたいことは一つである。世の科学者が物理学的に、DNA構造的に、プログラム的に形態形成の理由をどのように説明しても、それは真実とは限らないと。真実は科学者たちが想像もしていない複雑な世界に存在していて、科学者たちの知識をはるかに超えたところ(高次元)にあると言いたいのだ。
 私は彼の意見にほぼ同意する。その理由は、私は実際に医学的には治らないとされている神経系の病気(嗅覚脱失、難聴など)を神経ブロックや種々の方法で改善させているからである。医学の物理化学的な知見は短絡的すぎるといつも感じていた。しかも、妻は霊能力者で難病を治し、毎日のように物理学的に証明できないことを私の目の前で起こす。私はその原因として「私の頭が狂っているせい」であるとはどうしても思えない。ならば、科学が遅れていて、それらの現象を証明できないからだと結論付けてしまう。
 彼の著書にあるB・C・グッドウィン(1979)の論考を示す。
「この(形態形成の)場の一つの側面に、電気(電磁気)によって影響されるという点がある。他の有機体の発生また生殖に際しても、興味をそそる意義深い電気(電磁気)的な場のパターンが見つかっている。しかし、私は形態形成場が本質的に電気的なものだと示唆することは避けたい。また有機体の発生の両極性をはじめとする空間的側面には化学物質も関与している。しかし私は再び、形態形成場が本質的に化学的または生化学的なものだと結論することは避けたい。形態形成場の研究を進める上では、それがいかなる性質のものでもありうる。上記のすべてであるかもしれないし、どれでもないかもしれないこと、およびその物質的性質の不可知性にもかかわらず発生プロセスにおいて主要な役目をはたしていること、この2点を念頭に置くべきだと私は信じている。」→次の本文を読む