さて、タッカー博士の前世記憶の研究の最重要の核心について触れておく。ある前世を語る子どもに特徴的な母斑があり、その前世と思われる人物にも母斑と一致する創傷が確認された事例がある。
前世で頭を撃たれたという男の子。小さな丸いあざが後頭部に、大きくていびつなあざが額にあった。前世と思われる人物が特定されると、後頭部から銃で撃たれて亡くなったことがわかった。
機械で右手の指を切断してしまった人物とそれに一致するように生まれつき右手の指が短い男の子。
これらの事例は生物は胚から形態を形成していく上で、遺伝子だけが形を決めて行く要素ではなく、過去から未来へと受け継がれていく意識体(魂)に含まれている設計図の要素が必要であると推測することができる。
転生輪廻と形態形成の仮説は、肉体が死んでも意識体は消えてなくならず、再利用され、どこかの誰かの胚に宿って遺伝子と共に形態形成に寄与するというものである。6章、7章の話とも矛盾しない。というよりも、人は死んで肉体が滅んでも魂は残ると考えなければ、これらのストーリーはつじつまが合わない。つまり、形態形成場や生命場は意識体(魂)と同レベルの存在であるという仮説が成り立つ。各章にある超常現象的なストーリーが一本の道として矛盾なくつながっていく。
6章でシェルドレイクは「形態形成場は過去とつながっている」ことを仮定したが、その奇天烈な発想は、本章における前世の記憶と矛盾しない。それどころか論点が一貫している。
ところが、これらの「魂」「意識体」「過去とのつながり」の研究は、科学では解明できないブラックボックスである。このブラックボックスを研究することはすなわち、科学者として異端児扱いされ、この世を支配している機械論者と戦うことを意味している。今のところ超常現象を肯定する科学者は機械論者に完敗である。そして、これらの研究を表に出そうとする研究者は職を追われる。だが、それらの勢力に負けるわけにはいかない。量子理論は超常現象を後押ししている。もう少し努力をすれば、壁を突き破れる気がするのは私だけではないはずだ。時代は確実に流れている。→次の本文を読む