植物の葉には緑色のコインのような物体がいくつも重なり合っていてチラコイドと言われる。チラコイドはいわば光合成のエンジンであり光子を燃料にして空気中の二酸化炭素から取り出した炭素原子どうしを結び付け糖を作る。光子を吸収することで励起子ができる(光合成のエネルギー源)。
これを反応中心へと届けるにはクロロフィルの森の中で一つのアンテナ分子から次のアンテナ分子へと次々に手渡ししていかなければならない。最近まで励起子はランダムウォークで行き当たりばったりで進んでそのうちにたどり着くと思われていた。しかし、光子のエネルギーが反応中心へ到達するのは100%に近く、ランダムウォークでは考えられない。これが疑問だった。
「量子のうなり」の発見によって励起子はクロロフィルの迷路の中で一つのルートをたどっているのではなく同時に複数のルートを進んでいることが明らかとなった。室温ではそんなことは起こらないとの反論があったが、2009年にマーサーが室温で量子のうなりを検出した。→次の本文を読む