レセプターと脳(要約)

 末梢神経のレセプターに想像し得ない神秘が潜んでいるのだとしたら、脳のシナプスはさらにどれほど複雑であるか計り知れない。なぜならシナプスは自分の細胞をタコ足のように伸ばし、他の神経細胞と新たな結びつきを作り、そして一つの神経細胞が多数のタコ足を持つ。たった一つのシナプスでさえ、その量子的な仕組みがわからないというのに、脳は桁違いに複雑である。だから医学は脳神経に全く歯が立たないでいる。
 ましてや精神疾患となるとまるで次元が違うということが想像できるだろう。しかし次元が三つも四つも異なる脳に対し、人間は愚かにも向精神薬という化学薬品で立ち向かおうとしている。
 化学薬品は金づちを手に持ってコンピューターを修理しようとしているほどに愚かなことだと私は思う。もちろん、金づちで壊せば停止させることができる。つまり化学は今のところ選択的な停止処置である。→本文を読む