さて、まわりくどい書き方の末にようやく「科学で解明できないこと」について述べることにする。前述したように、機械論者に「科学が未熟であることを説明する」ことは無駄である。いじめられっ子はいじめっ子と出会ったとたんに血圧が上がってしまうが、それと同様に機械論者は科学をけなされた瞬間に血圧が上がる。その理由は科学教育が脳の奥深くまで浸透しているからだ。大学卒のほとんどが機械論に洗脳されている。だから「科学で解明できないこと」を述べても、彼らは「その文をまともに読まない」という手法でたやすく回避する。
だが、一部の天才は機械論から自力で抜け出し、機械論者に正面切って戦いを挑む者がいる。量子論者がそれにあたるが、量子論はあまりにも複雑怪奇で一般人を説得するには不向きである。そこで一般人にもわかるようにいろんな実例を挙げて論述し、機械論を論破して欧米の科学者たちをうならせた人を紹介する。ルパート・シェルドレイクである。彼は肩書のない生物学者だが、欧米では科学者の間で知らない人がいないというほどに話題となった。おそらく機械論の科学者にもっとも嫌われている人物である。嫌われるということは、彼らが論破できないないほど彼の頭がよく用意周到で、理論の筋が通っているということを意味する。逆に彼は生気論の科学者からは絶賛されている。
機械論者の間ではルパート・シェルドレイクの名を出しただけで「読むに値しない」というレッテルを貼られ、この名を引用した者の論文は「疑似科学」と言われて世に出ることができなくなる。だから量子論者は著書の中では彼の名を用いることはない。すでにそういう陰謀が働いている。だから彼の本を読むと、頭の固い機械論者の科学者に対する批判がもりだくさんだった。
私がこのように書くのは、本論文が攻撃に遭うことを想定しての布石となっている。それほど彼の理論は機械論者の理論の急所をついている。彼の著書「世界を変える7つの実験(1994年)」イギリスとドイツでベストセラーになった他、テレビでの公開実験で科学で説明がつかないことを証明して見せ、日米欧のテレビでとりあげられた。彼はマスコミを利用することに関しては科学者たちよりも長けていた。
世の中には科学で解明できないことが山のようにある。だが機械論者はあたかも世の中のほとんどすべてのことが「解明できているかのような言葉のマジック」を巧みに使う。そのマジックに騙されているのが一般大衆であり、そのマジックのタネをばらしているのがルパート・シェルドレイクである。
DNAの解析などがそのよい例であろう。DNAの塩基配列は全て解明している。それは確かに正解だ。どの塩基配列が何に影響しているのかもだいたいはわかっている。しかし、DNAは「それしか」わかっていない。よく考えるとDNAはたった数個の塩基配列で、巨大で複雑な分子構造を持つ組織を作り上げる。それはグリコのおまけの自動車のおもちゃの設計図から、本物の自動車を作り上げるということを意味する。そんなあり得ないことをDNAが行っているというのに、科学雑誌や新聞・ニュースでは「DNAはほぼ全て解析が終わった」と報道している。おもちゃの設計図から本物の自動車を作るというあまりにも大きな飛躍をしているのだが、そこを敢えて報道せず、マスコミは科学が人間の仕組みを解明したかのような嘘を平気で世界中に垂れ流している。一般大衆はその嘘をまじめに信じている。
私が今説明したようなことを、さらにまじめに研究したのがルパート・シェルドレイクである。彼の著書「生命のニューサイエンス」「世界を変える7つの実験」を参考にして科学で解明できていない生命の不思議について解説する。→次の本文を読む