カレルはルルドを訪問したために「奇蹟を信じる愚か者、医学への背任」というレッテルを貼られ、フランス国内にいられない状況になった。発言・思想・宗教の自由というのは形式上であり、実際は医師が超自然的な力を語ることは許されていないことが理解できる。ノーベル医学賞をとった者でさえ、奇蹟の治療体験を公表したために死後に名誉を傷つけられる羽目になるのだから。
当然ながら医師として病院に勤務中に「奇蹟の力」について論述したものを公表すれば、病院を解雇される。その現実をカレルの話から学ばなければならない。
奇蹟を経験してしまった医師は、気のせい、誤診、精神疾患のどれかに置き換えて奇蹟を否定するのが常である。が、1000人に1人の医者はその奇蹟と向き合う。科学では解明できない超自然的な力によって人間の健康が影響を受けることを研究しようとする。だが、その医師にかかる世間からの圧力は極めて強い。その圧力に抗して自分の信じる道を進むことができた医師たちを尊敬している。が、その医師たちの前途は多難であることに変わりはない。私はこの論文が、そういう医師たちを救うものとなれればよいと思っている。→次の本文を読む